| 上級英会話上達法の続きです。
4. 英米文化についてもう一度正確な理解をする
したがってスラングを学ぶということは英米文化を学ぶということになりますし、英米文化がわからないとスラングを正確に理解することもできないとも言えます。
読者のみなさんも聖書やシェークスピアがわからないため、英語がよくわからなかったという経験はお持ちだと思います。
最近、筆者が出会った英語で、"daydreams of John McCain rotting in a colorless cell"というのがありました。ここではJohn McCainと言う人が何者なのかを知らないとさっぱり意味がわかりません。
試しにアメリカ人、イギリス人、ニュージーランド人にそれぞれ聞いてみたらみんな知っていました。John McCainという人はベトナム戦争のアメリカ軍戦闘機パイロットでベトコンに捕まり、自白を拒否したため拷問として小さな箱の中に長い間入れられていたという人で、これは有名な話だそうです。
その箱がcolorless cell(無味乾燥な独房)と表現されているわけです。
このようなことがわかっていないと英米の新聞や雑誌を理解できなくなってしまいます。
この前もテキサス出身のアメリカ人と話をしていたら、彼は東京に来てビックリしたのは人と人とがぶつかりそうになったとき日本人は"Excuse me."とか "I'm sorry."と言う人が少ないことだと言っていました。
確かにアメリカにいるときのほうがこの表現をよく耳にしますよね。彼が言うにはアメリカにいたときは自分の前や後ろを歩いている人のことを絶えず気にしていた、親にも学校でも地球はみんなで住むものだと教えられていたと言うんですね。
何やら哲学的ですが、このようなことも文化的相違としてとらえておかないと、いざというときに英語がわからないときがあります。
もっともこの話を別なアメリカ人に話したら、それはテキサスだから通用する話で、東京でぶつかりそうになるたびにI'm sorry.と言っていたらきりがないし、意味もないと言っていましたね。
5. 文法的に正確な英語により話すことができるようになる
文法的に正確な英語を話そうとするあまり、会話のスピードが遅くなるということには筆者は反対です。つっかえながら話される英語はネーティブにとって聞くのに忍耐がいります。文法的に間違っていても速く話してくれたほうが楽です。
ところがスピードがネーティブに近くなってきますと、スピードについては忍耐しなくなりますから、その分、文法の間違いをキャッチするようになります。
ある人がI like reading book.と言ったとします。そうするとネーティブはすぐにこの英語は間違いで正しくはI like reading books.とbookを複数で言わなければならないと思いながら聞いています。
日本人が不得意とする単数と複数、時制の一致など、どこが間違っているかを正確に聞き取りながら、私たちの英語がネーティブ・レベルかどうかを瞬時に判断してしまいます。
6. 豊富な語彙で話しているか
アメリカでは語彙を増やすためのプログラムや本が売られています。筆者も宣伝のコピーが素晴らしくて買ってみようかなと思ったものがあります。
次にご紹介しておきます。
Now, you can amass a Harvard Graduate's vocabulary in just 15 minutes a day!
(ハーバード大卒の語彙が一日15分間で身に付きます)
Acquire a powerful vocabulary that catapults you into the top 5% of all educated adults - the most successful, highest-earning people!
(豊富な語彙を武器にし、最も成功し、多額な収入を得ている5%の人々の仲間入りをしよう)
このようなタイトルで始まっていますが、本文に次のようにあります。
Every day, people judge you by the words you use. Right or wrong, they make assumptions about your intelligence, your education and your capabilities.
(人々は毎日あなたが使用する語彙によってあなたを判断しています。よかれ悪しかれあなたの知性や教養、能力を判断してしまうのです)
Nothing makes a better impression than a solid mastery of English language.
(確固とした英語を身につけることほど、あなたの印象をよくするものはありません)
このことからわかるようにネーティブは相手が使用する語彙によって相手の人格やバックグラウンドなどを判断してしまうわけです。
私たち日本人にとっては類語と思われるものでもネーティブにとっては微妙にニュアンスが違います。こちらのスピードが速く、語彙も難しいものを使い始めると彼らの語彙も難しくなってきます。
そうするといよいよ会話がのってきます。ならいいのですが、益々わからなくなってくるときもありますね。
話は変わりますが、英会話スクールの先生で会話のスピードが速くて難しい語彙を使ってくれる人はあまりいません。そうしたら生徒がわからないと思っているからです。
ですから、よくある話ですけれど、英会話スクールの先生と話をしていたときは政治の話も宗教の話も出来たのにアメリカに行ったらまったく相手の言っていることがわからず、コミュニケーションが出来なくてショックを受けたということが起こりうるのです。
さらに言いますと、英会話スクールの先生は出身地特有のなまり(accent)がなくなっています。このことは英会話スクールの先生だけではなく、日本に長く住んでいる英米人にもあてはまります。筆者のオフィスに出入りしているフィラデルフィア出身のアメリカ人もなまりは全然ないのでなぜかと聞いてみたところ、日本に何年も住んでいるうちになまりが完全になくなってしまったそうで、このためフィラデルフィア出身の友人に久しぶりに会うとなまりのないことにビックリされるそうです。
なまりはなく、発音はきれい、難しい語彙は使わず、スピードはゆっくり、これならわかるに決まっています。
さらに英会話スクールの先生は私たちの英語がブロークンでも忍耐強く聞いてくれます。これで英語が出来ると思ったら大間違いですよね。
ですから上級の人が英会話スクールで学ぶときは、このへんのことをよく先生と話し合うべきです。そうでないとお金の無駄遣いになります。
7. 論理的な文章を書く訓練をする
いつも言っていますように、英語は論理を重んじる言葉です。漢字のように象形文字ではなく、日本語のようにひらがなやカタカナの助けもないアルファベットのみの英語では論理による文脈の理解しかないのは無理もないと思われます。
アメリカの高校では国語である英語の作文の時間で、論理的な文章をかくように徹底的に訓練されます。論理が飛んだり矛盾したりすると早速先生から注意されます。この結果、大学に入る頃には論理的な英文を書く習慣が身についており、したがって話す英語もつじつまのあう英語を話すようになっています。
これに比較して日本の中学や高校では作文で論理を重んじるという訓練はされません。むしろ漢字が合っているか、仮名遣いは正しいかなどが重視され、それらが問題なければ注意されません。
さらに筆者の私見ですが、アメリカの高校と大学を卒業したアメリカ人と、日本の高校と大学を卒業した日本人を比較した場合、アメリカ人のほうが文章を書く訓練をされていると思います。
この結果、大学を出た日本人でもひどい日本語の文章を平気で書くようになります。 私たちが翻訳を請け負うとき、とても訳せない日本語に出会うのはこの理由からです。
パンフレットの英語化は何を注意すればよいかでも述べましたように、英語の論文では導入(introduction)、主張(main points)、裏付け(supporting facts)、結論(conclusion)の順に論理の一貫した文章が展開されなければなりません。
私たち日本人も論理的に物事を考え、論理的な文章を書く習慣をつけないと英語の考え方になじむことは出来ず、英語で話を進めるときもネーティブスピーカーとはとても勝負になりません。
8. コミュニケーションの手法を会得する
Queen's Englishを誇るイギリスは世界の覇者であったため、英語によるコミュニケーションの手法(Communication methods)が発達しました。またアメリカは異なる民族によるルツボであるため、建国を進める上からもコミュニケーションの方法についての研究が盛んに進められました。
現在でもMBAを始めとする多くのアメリカの高等教育機関ではコミュニケーションについての講座があります。
ところが単一民族のわが日本人はこのような必要がなかったため、コミュニケーションについての研究や学問はないに等しく、書店で売られている書物もせいぜい「話し方」とかのきわめて分野の狭いものにすぎません。
教養のある英米人はどのようなときにどのような英語を、どのようなタイミングとジェスチャで使用したらよいかを身に付けています。英米人の議論やディベートは彼らの文化であり、その文化の中で身についたものなのです。
ですから私たちもこのような勉強をしていないとネーティブスピーカーと同じ土俵で勝負することはできません。
参考になる書籍としては中上級者向け推薦原書/ビデオでもご紹介しましたが、Matthew Mckay, Ph.D.、Martha Davis, Ph.D., Patrick Fanningの三人の共著Message -The Communication Skills Book が筆者の推薦書です。
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